長い人生を生きる礎を築く〜義務教育〜

恐らく、これを読んでいる皆さんのほぼ全員に共通していることがあります。それは、何かしらの重大な事情が無い限りは、小学校中学校に通い、教育を受けてきたということです。小学校6年間、中学校3年間の合計9年間の教育は「義務教育」と呼ばれ、日本の三大義務の一つとしてカウントされています。勘違いされがちですが、義務教育の義務とは「子供に教育を受けさせる義務」であり、「教育を受ける義務」ではありません。教育を受けるのはあくまで権利なのです。そのため、お子さんが学校に行き渋るとしても「義務教育だから行かないといけない」と言うのは、親としての自らの責任を放棄する発言になりますので、頭の片隅にでも置いておくのが良いでしょう。さて、それではなぜこの九年間の教育を受けさせることが義務となっているのか、この義務教育制度が日本において一般的になったのは、明治時代以降の近代社会においてでありました。他国についても言えることなのですが、子供の教育が盛んになるためには幾つかの条件があります。その一つが工業化・近代化というものです。機械がなく、全ての作業が手作業で行われる時代においては、子供も重要な労働力であり、彼らを教育の場へと送り出すことが出来るのはごく一部の裕福な層に限られていました。しかし、工業化によって必要とされる人数が減ることによって、子供たちは仕事から開放され、自由な時間を与えられることとなります。世界中で最も早く工業革命が行われ、いち早く近代社会へと進化を遂げたイギリスでは、その時一つの問題が起きました。自由な時間を得た子供たちが、街をうろつき、イタズラをして回るなど、治安の悪化が問題となったのです。そこで考えだされたのが、それらの子供の自由な時間を拘束する手段の一つであり、同時に一般的教養や社会的常識を教えるための施設としての「学校」でした。ちなみに、「教育」自体に関する学問は古くよりあり、遡ること紀元前、アリストテレスがその元祖であるといわれています。アリストテレスは大人から子供へ、その知識を伝達するのが教育であると考えていました。その後、教育学は主にドイツにおいて盛んに議論されることになります。その時に生まれたのが「ヘルバルト学派」という学者集団です。彼らは、教育をより組織的にし、世界ではじめて「一斉授業」の形を考案して実践しました。彼らの教育は、まず「これから何をするのか」を伝え、それから「知識を伝達し」、そして「応用を考えさせ」、繰り返すことで「定着させる」という、今でもなお行われる一斉授業の形と非常に近い近代的な教育学を生み出したのです。しかしながら、ヘルバルト学派の教育論では、現代の教育に足りない部分があります。それは「生活指導」という面についてです。彼らヘルバルト学派は、あくまでも教育は知識の伝達であり、いうなれば「詰め込み教育」について肯定的な立場でありました。暫くの間はその考え方が一般的でしたが、段々と教育の場から議論が巻き起こります。それは、子供たちの生活についても、より積極的に指導し、より更生な人間を作り出すべきだという論です。これは、新教育運動と呼ばれ、世界中で議論が巻き起こりました。日本でも例外ではなく、大正教育運動としてそれらの運動が起こりました。それでも、政府の定めた学制による教育はヘルバルト学派のものを踏襲したものであったため、彼ら大正新教育運動の教師たちは、主にそれらの拘束を受けない私立学校においてそれらの教育を実践していきました。しばらくの長きにわたって彼らの運動は実を結ぶことはなく、いうなれば水面下の活動が続きましたが、転機が訪れます。それは第二次世界大戦の敗戦による占領という日本にとっての大きな転機でした。これを機械に、政府は解体され、憲法は変わり、法律も全て変わりました。その際、教育制度についても見直され、今までの政府が出していた教育勅語を遵守する教育体制から、段々とより緩和された体制へと変わっていき、今のような教育体制が築かれることとなったのです。紆余曲折の歴史を経た教育制度、まだまだ多くの問題を抱えているとは思いますが、恐らくこの世の中に子供と、子供を愛する大人がいる限り、新たな進歩が着実に進んでいく分野であるといえるのではないでしょうか。このサイトでは、そんな歴史によって支えられた義務教育である小学校と中学校について、それぞれ教えられる科目の特徴などを紹介していきたいと思います。お子さんが躓きやすいところについても触れますので、是非一緒に考えてみてください。義務教育時代の教育は、学校と親御さん、そして地域が三位一体となって行わなければ絶対に適切なものとはならないのですから、全てを学校に丸投げしてしまうモンスターペアレンツとならないように、考えてみてはいかがでしょうか。

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